口臭に「悩む」という言葉を安易に使うことがありますが、口臭を「気にする」とは大きく異なります。もしかしたら「悩む」と「気にする」を混同されている方もいらっしゃるかもしれませんので、ここでは2つの言葉を比較し、それぞれの患者さんにとって口臭がどのように受け止められているかを解説します。

口臭を「気にする」とは?

「気にする」というのは、何かの拍子に少し気になったり、不安を感じたりすることで、一過性のものといえるでしょう。ですから口臭でいえば、四六時中そのことを考えることはありません。

例えば、友人と話をしている際、相手が鼻をつまんだとしましょう。その理由は、花粉症によってくしゃみが出そうになっていたからだとしても、口臭を気にしている人にとっては、自分の息が臭いから鼻をつまんだのかもしれない、と気にする瞬間があります。ただ、次の瞬間にはまた笑顔で会話が続いたら、口臭のことは忘れます。これが口臭を「気にする」人の特徴です。

口臭に「悩む」とは?

口臭に「悩む」というのは、文字通りそれ自体がコンプレックスとなって、日常的に不安を感じている状態を意味します。「気にする」との決定的な違いは、きっかけありきで不安を感じるのではなく、日常的に自分の口臭について考えてしまっている点です。

例えば、人と会話をしている時ではなく、仕事でパソコンと向き合っている時、あるいはショッピングで服を選んでいる時など、口臭を気にするきっかけがないにも関わらず、自分の口臭について考えてしまう状態を口臭に「悩む」人といえるでしょう。

悩む人は口臭症をこじらせてしまう?

口臭症はとても複雑な病気です。本来、吐いた息の中に、臭いの原因物質が一定量以上含まれているかいないかで、病気の有無を判断できるのですが、「臭い」という目に見えない要素だからこそ、心の問題が関係してきてしまうからです。特に、医療機関などを受診せず、自分一人で悶々と悩む人は、本当は口臭がないのに口臭があると思い込んで、どんどんとネガティブになっていってしまいます。その結果、口臭症をこじらせてしまい、精神科や心療内科でも治療できないような状態へと進んでいくのです。

まとめ

口臭を「気にする」と「悩む」は、ある意味で口臭症の重症度を現します。それは病気そのものではなく、口臭に対する捉え方の違いで、悩みが深まると精神的な治療を要しますので注意しましょう。