口臭症は歯科医師からすると、とても難しい病気です。なぜなら、臭いに対する価値観や感じ方は、人によってバラバラだからです。そんな口臭を主訴として来院する患者さんには、ほんとうに病気といえるほどの症状が現れているのでしょうか。

口臭のない人間はいない?

私たちは日々、色々な食べ物や飲み物を摂取しています。また、空気を吸うことで、大気中に含まれる細菌やウイルス、ちりやほこりなども口腔内へと取り込んでいます。そして何より、口腔内には常在菌というものが住み着いていますので、どんなに清潔な人でも、口腔内はある意味で不潔な環境であるといえるのです。つまり、日常生活を営んでいる上ではそれほど気にならないにしても、全ての人には口臭があるといえます。

口臭外来を受診する患者さんの口臭

口臭外来を受診する患者さんの中には、「生理的口臭」という範疇に収まる程度の口臭しかない方も珍しくありません。生理的口臭とは、朝起きてすぐに口の中が臭っていたり、生理の期間中に口臭がきつくなったりする現象です。こうした口臭も、人によっては深く悩んでしまうような原因なり得るため、診療も難しくなるといえます。もちろん、本当に強い口臭を持った患者さんもいらっしゃいますが、検査等で原因を突き止めることができるため、治療で改善します。

本当にきつい口臭とは?

本当にきつい口臭とは、腐った卵のような臭いやドブのような臭いがする口臭で、これらの背景には、虫歯や歯周病などの口腔疾患が隠れているケースが多いです。ですから、客観的に強いニオイを発している口臭でも、その原因を取り除けば、症状を改善することも難しくはないのです。

全身の病気が原因の口臭とは?

口臭には、全身の病気が原因となるケースもあります。糖尿病や胃潰瘍などがその代表です。これらの病気によって起こる口臭は、虫歯や歯周病の口臭とは少し違います。具体的には、ダイエット臭と呼ばれる臭いや、アンモニアの臭いなどが口から生じるようになります。これらは口腔疾患由来の口臭と比較すると、不快感は幾分下がりますが、やはり気にされる方は多いです。そうしたケースでは、内科と連携しながら原因疾患の治療に専念します。

まとめ

口臭症患者さんの口臭は、十人十色です。全く臭わない人もいれば、ドブのような臭いの人もいます。いずれにせよ、原因の有無を突き止め対処することで、症状は改善していくことでしょう。